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Channel: 孤帆の遠影碧空に尽き
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サハラ砂漠を越える不法移民の悲劇的結末

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(人々と荷物を載せてニジェールからリビア・アルジェリアにサハラ砂漠を超えるトラック “flickr”より By Claude BARUTEL https://www.flickr.com/photos/claudebarutel/330247302/in/photolist-vbB21-vbB23-vbB26-vbB2i-vbB2e-vbB2o-bXghnc-5XTCvY-8wAf4R)

世の中には人の命などなんとも思わない卑劣な人間がいるものだと、暗澹たる思いにさせるニュースです。

****サハラ砂漠に移民300人置き去り、10人死亡****
灼熱の北アフリカ・サハラ砂漠で、不法移民の輸送請負業者に置き去りにされた約300人の移民が保護され、うち10人の死亡が確認された。生存者も衰弱しているという。スーダン当局が4月30日に明らかにした。

スーダン外務省の高官が国営スーダン通信に語ったところによると、移民たちはスーダンとリビアの国境付近に広がる砂漠に放置されていた。請負業者が移民たちに車から降りるよう命じたという。保護された移民たちは「皆、飢え乾いている」という。

移民の密入国を請け負う業者が不法移民から金を受け取った後で砂漠に遺棄する事例は、これまでにも発生している。この外務省高官は、「金のことしか考えていない」と業者を批判した。死亡したのはスーダン人6人、エチオピア人2人、エリトリア人1人、国籍不明1人という。

一方、スーダン軍の報道官はAFPの取材に対し、スーダン人の死者は9人だと語った。置き去りにされた移民たちは計319人で、国籍はスーダンの他エチオピア、エリトリア、パキスタン、バングラデシュなどさまざま。リビアに向かっていた不法移民だという。

スーダン国防省の声明によれば、移民たちはスーダン軍とリビア軍の合同作戦で救出された。

スーダン東部からエジプト・シナイ半島にかけての砂漠地帯は、当局の監視の目が緩いことから、より良い生活を求める不法移民の主要な抜け道となっている。

イスラエルや欧州各国を目指して砂漠を渡る不法移民は、エリトリア人だけでも毎年数千人に上る。【5月1日 AFP】
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素性を知られているにもかかわらず、殺さずに放置したのは、せめてもの情けでしょうか、それとも、どうせ死ぬだろうから、殺すのも面倒・・・ということでしょうか?

難民たちは、リビアに入ったあと、どういう経路で欧州・イスラエルに向かうつもりだったのでしょうか?
チュニジアに近いイタリア最南端ランペドゥーサ島や、モロッコ領内のスペイン飛び地セウタやメリリャが、アフリカからの難民の玄関口になっているという話はありますが。

スーダンから遠く離れたパキスタン、バングラデシュ国籍の人々というのは、どういう事情でこのようなルートを選択したのでしょうか?いろんな事情でスーダンで暮らしていた人たちでしょうか?

記事では“イスラエルや欧州各国を目指して砂漠を渡る不法移民は、エリトリア人だけでも毎年数千人に上る”としていますが、エリトリアなんて5〜600万人の小さな国です。エリトリアの数字を出しても全体像はまったくつかめません。一体どれほどの人々が命がけの移動を行っているのでしょうか?

記事を読んで疑問に感じる点はいくつかありますが、残念なことに記事にもあるように、こうした事件はときどき発覚しています。
発覚しないところで、どれだけの人々が犠牲になっているのか。

砂漠での難民の事件としては、ニジェールからの難民の事件が記憶に新しいところです。

****サハラ砂漠で立ち往生、ニジェールの移民92人が死亡****
西アフリカのニジェールからアルジェリアに向かっていた移民92人が、国境近くのサハラ砂漠で遺体となって発見された。ニジェール当局が31日発表した。

遺体の多くはすでに腐敗が進んでおり、一部はジャッカルと思われる動物に食べられて形跡があるという。当局によると52人が子ども、33人が女性、7人が男性だった。飲み水不足が死因とみられている。

移民は9月下旬から10月初旬にかけて、2台のトラックに乗り込んで出発。しかし道中で1台が故障し、別の1台が助けを呼びに行ったものの途中で立ち往生したとみられている。

また別の19人は徒歩でアルジェリアに到着したが、ニジェール当局に引き渡されたという。

ニジェール北部は、サハラ以南のアフリカ諸国から北アフリカや欧州へ渡る不法移民が通過するルート上にある。同国では貧困から逃れるため多くの移民が他国に渡っている。

今年アフリカから欧州へと渡った移民の数は、これまでに3万2000人余りに上る。【2013年11月1日 ロイター】
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このニジェールのケースは事故だったようですが、ソマリアから対岸のイエメンに渡るルートでは、やはり業者がカネだけを受け取り、難民をボートから海に突き落とす・・・といった事件が多発しているという話を以前よく聞きました。

“人の命などなんとも思わない卑劣な人間”と人間性の問題を云々しても仕方がないところです。
政治制度の問題としては、こうした経済難民の受け入れを拒否する国家の壁の問題、貧しい国の自己責任の問題であり、豊かな国に押しかけてこられても困る・・・という現実問題があります。

これについては、現実問題として“困る”“対応できない”“現行の国家制度の枠組みでは自己責任だ”というのは分かりますが、自分たちの生活水準を維持するために、難民を拒否する・・・・それでいいのか?という疑念がつきまとうことは難民問題を取り上げる際に毎度触れている話です。
じゃ、どうするんだと言われても口をつぐむしかありませんが・・・。

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