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Channel: 孤帆の遠影碧空に尽き
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ハンガリー  「非自由主義的民主主義」のオルバン首相 4期目めざす総選挙 反LGBTや親プーチンも争点

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(プーチン大統領とオルバン首相の写真を並べ、「ハンガリーのプーチン それとも欧州?」と投票を訴える野党系の選挙ポスター=3月22日、ブダペスト【4月3日 朝日】)
【「非自由主義的民主主義」を掲げる強権オルバン首相 4期目なるか? 接戦予想】東欧ハンガリーで今日3日、議会選挙が実施されています。ハンガリーといえば、“強権オルバン政権”ということで、ブログでもしばしば取り上げてきました。
オルバン首相は“移民ら少数派への攻撃的な言動やメディア規制などをめぐってEUと対立し、ロシア寄りの姿勢を示す”ということで、EU指導部の西欧的価値観とは明確に異なる価値観を有しています。
「大国」ではないものの、欧州にあって独自の価値観を持つオルバン政権の帰趨を決める今回選挙については、昨年段階から国際的にも注目されてきました。
与野党の接戦が予想されているようで、時差が7時間ありますので、結果がわかるのは明日でしょうか。
****ハンガリー議会選 強権オルバン4期目目指す****欧州連合(EU)加盟国の東欧ハンガリーで3日、議会選挙が実施された。2010年以降政権を握り、強権的な統治手法を強めてきたオルバン首相が連続4期目を狙う。
移民ら少数派への攻撃的な言動やメディア規制などをめぐってEUと対立し、ロシア寄りの姿勢を示すオルバン氏が敗退すれば、欧州情勢に影響を与えそうだ。
議会選では、複数の野党が「打倒オルバン」を掲げて連合を結成。オルバン氏率いる右派「フィデス・ハンガリー市民連盟」の与党連合に挑む。AP通信などによると、最近の世論調査ではフィデス・ハンガリー市民連盟の支持率がわずかに上回っているものの、接戦が予想されている。
今回の選挙の大きな争点は、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの対応やEUとの関係改善などだ。
ウクライナに隣接するハンガリーは北大西洋条約機構(NATO)に加盟している。ただ、オルバン氏はロシアとの天然ガス供給契約を維持するため、他のNATO加盟国のドイツなどと異なり「ウクライナに兵器を供与しない」と主張。ロシアへの資源依存から脱却することにも消極的な姿勢を示している。
また、強権主義に傾斜するオルバン政権は国民やメディアへの言論統制を強化してきたことから、民主主義や人権を重視するEUと頻繁に対立してきた。
一方、野党連合は、オルバン氏の対ロシア政策を非難。EUとの関係改善などを訴えている。【4月3日 産経】************************
【マイノリティーを標的にすることで政権維持 移民の次はLGBTが標的】“オルバン首相は、ハンガリーを独自の「非自由主義的民主主義」に変貌させ、メディアや市民グループへの締め付けを強化。欧州連合(EU)との関係が悪化した。”【1月12日 ロイター】
「非自由主義的民主主義」・・・想定しているのはシンガポールやロシア、更には中国のような政治・社会体制と言われています。
そうした政権がEU・NATOに加盟していること自体が奇妙なことにも思えますが、EU方針に批判的なハンガリー・ポーランドなど中東欧諸国は、一方でEUからの多額の補助金を受け取る「受益国」でもあります。
“オルバンはEUの資金を必要としている──自国の農家助成のためだけでなく、自身が牛耳る汚職まみれの公共事業の費用を賄うためにもだ。”【下記 Newsweek】
****少数派「いじめ」の強化で、権力にしがみつくハンガリーの「独裁者」****<「マイノリティーいじめ」でしかない反LGBTQ法導入は、来年の総選挙を前に窮地に追い込まれたオルバン首相による必死の延命策>
ハンガリーのオルバン・ビクトル首相は民主主義の旗を掲げて政界入りした。冷戦後の1990年代、彼はハンガリー政界の希望の星であり、共産主義から民主主義への移行を目指すこの国に支援の手を差し伸べた欧米諸国の寵児でもあった。
だが政権の座に就くや、ポピュリズムの手法に頼るようになった。熟議を重ねる民主的な統治に背を向け、数にものいわせて安易な路線に転換。権力の暴走を防ぐ制度や法律を次々に廃止した。(中略)
オルバンとその協力者らは6月に議会で反LGBTQ(同性愛者などの性的少数者)法を成立させ、7月8日に施行した。同性愛やジェンダーの多様性について未成年者に伝えることを禁じるなど、ロシアの「同性愛宣伝禁止法」と似たような内容だ。
当然ながらウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長とドゥニャ・ミヤトビッチ欧州委員(人権担当)はこの法律を批判。オランダのマルク・ルッテ首相は、ハンガリーはEUを去るべきだ、とまで指弾した。
オルバンはここ数年、イスラム教徒の難民や少数民族のロマに対する偏見や差別を政治的に利用してきた。憎悪をあおるポピュリズム的な手法を続けるために、新たな「大衆の敵」が必要になり、格好の標的としてLGBTQに目を付けたようだ。
ポピュリストは2つの理由でマイノリティーを標的にするが、この2つは連続する。つまり標的は同じでも、政治的な目的は進化するのだ。
公約を果たせないポピュリストの行方まずは、大衆の支持をつかむため。ポピュリスト政治家はマイノリティーに対する恐怖心や嫌悪感をずけずけと口にして大衆の代弁者を気取る。ドナルド・トランプが2016年の米大統領選に出馬を表明したときにメキシコ移民を「強姦魔」や「犯罪者」呼ばわりしたのもそのためだ。
右であれ左であれ、大風呂敷を広げたポピュリストの指導者はいずれ公約を果たせなくなる。そのとき彼らは2つ目の理由でマイノリティーいじめに走る。大衆の不満を社会的弱者に向けて、姑息に政権を維持しようとするのだ。
つまり1つ目のマイノリティーいじめは権力基盤の強化のため、2つ目は危うくなった権力基盤にしがみつくため。ポピュリストの指導者は大衆の支持を失えば裸の王様だ。
民主主義の下では、どんな指導者も支持率を気にするが、ポピュリストの指導者は異常なまでに気にする。政治的信念も指導者の資質も欠いた彼らにとっては、大衆の支持のみが頼みの綱なのだ。
EUとNATOの加盟国でありながら、民主主義が後退しつつある──ハンガリーの危うさはそれだけではないし、それが主な危険要因でもない。
腐敗疑惑、世界最悪クラスの新型コロナウイルスの死亡率、EUを軽視し中国とロシアに接近する外交への有権者の懸念──。それらが積み重なってオルバン政権は今や崖っぷちに追いやられている。彼らが土壇場で見せる悪あがきこそ、今のハンガリーが抱える最も危険な要因だ。(後略)【2021年7月22日 Newsweek】********************
上記記事にあるように、オルバン首相が移民の次に現在標的にしているのは性的マイノリティーLGBT。これに対しEUは“一線を超えた”として法的措置を開始しています。
“(2021年)6月23日、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、ハンガリーの法律は「恥」だと言い、「法律は性的な性向に基づいて人々を明確に差別している。EUの基本的価値に反している」「すべてのEU市民の権利が保証されるよう欧州委員会のすべての権限を行使する」と述べた。オランダの首相ルッテは、もし、ハンガリーがEUの価値を分ち合えないのなら、EUを離脱すべきことを示唆した。”【2021年7月22日 WEDGE】
****欧州委員会、ハンガリーなどに法的手続き開始 反LGBT政策で****欧州連合(EU)の欧州委員会は15日、東欧の加盟国ハンガリーとポーランドがLGBTなど性的少数者を抑圧し、人権尊重などを定めるEU基本条約に反しているとして、両国に対する法的手続きに入ったと発表した。両国に通知書を送付し、2カ月以内に十分な対応がなければ、制裁を求め欧州司法裁判所に提訴する可能性がある。 ハンガリーは8日、18歳未満向けの教材や広告、映画などで同性愛の描写などを禁じる法律を施行した。欧州委は新法が「性的指向に基づく差別」であり、基本的権利の制限にあたると指摘している。
ポーランドでも近年、複数の自治体が「LGBTのいない地区」を宣言するなどLGBT排除の動きが目立つ。欧州委はこれらがEUの法律に反する疑いがあるにもかかわらず、ポーランド政府が調査に協力していないと批判している。 欧州委は15日の声明で、「人権の尊重や平等はEUの核となる価値観。その価値を守るためにすべての手段を取る」と強調した。【2021年7月16日 毎日】*********************
ハンガリー政府は、“反LGBT法”と言われるものは子供の権利を守り、親の権利を保証するものであり、差別の要素は含んでいないと主張していますが、その主張は非常に“政治的”偏りが見られます
“オルバン氏は21年9月、首都ブダペストで開かれた国際会議の席上、「ハンガリーは西側の左派の攻撃から自衛する。彼らは家族という概念を相対化しようとすることで伝統的家族を攻撃しており、その際のツールがLGBTやジェンダーのロビー団体だ。彼ら(LGBTなどの団体)は特に子供たちを標的にしている」と自説を展開した。”【1月11日 毎日】
【LGBT政策の国民投票を議会選挙とセットにすることで野党勢力分断をはかる】オルバン首相は、今回議会選挙に併せて、このLGBT政策を国民投票にかけることで、野党側・反オルバン陣営の分断をはかっています。“親の権利”云々で根強い伝統的価値観に訴えやすい問題、野党勢力間でも意見が分かれる問題を議会選挙とセットにする・・・政治的には“うまい方法”かも。
****ハンガリー、4月にLGBTQ関連の国民投票実施****東欧ハンガリーで4月にLGBTQ(性的少数者)に関連した国民投票が行われることがわかった。政府が11日明らかにした。国民投票では、子どもたちに対して同性愛や性別の転換などを助長するとみなされる教材や教育プログラムを禁止する法律の是非が問われる。
この法律は昨年6月に議会を通過していた。学校でのLGBTQに関する議論を事実上禁止するものとなっており、野党や人権活動家から批判の声が出ている。欧州連合(EU)は、ハンガリーがEUの法律の下でのLGBTQの基本的権利を侵害しているとして、加盟国であるハンガリーを相手に訴訟を起こした。
今回の国民投票実施は、ハンガリーの強硬な国家主義的政府のそうした批判への対応といえそうだ。国民投票が行われる4月3日は議会選も行われる。
右派でポピュリストのオルバン首相は、法律について、LGBTQの権利を侵すものではなく、どのように子どもを教育するのかという親の権利を保護するものだと主張している。
EUの行政を担う欧州委員会は昨年7月、ハンガリーに対する訴訟を起こす際に、ハンガリー政府は、子どもたちがLGBTQ関連の内容に触れることが、なぜ子どもたちの幸福にとって有害であったり最善の利益に沿っていなかったりするのかということについて説明が不十分だと指摘していた。
専門家や人権活動家は、今回の国民投票の動きについて、オルバン首相が政治的な得点を稼ぎ、選挙前に野党を分断したいと考えているとの見方を示した。野党の多くはオルバン首相を倒そうとしているものの、LGBTQの権利問題は野党内で依然として大きな障害となっている。【1月12日 CNN】**********************
【プーチン大統領と「最も親しい」ことも争点に】今回選挙は、ウクライナ情勢を受けて、ロシア・プーチン大統領との距離感も問題になっています。「非自由主義的民主主義」なるものを掲げるオルバン首相は、トランプ前大統領同様に、プーチン大統領の強権手法をリスペクトしています。
****ハンガリー、ロシアとの関係争点 総選挙、プーチン氏と「最も親しい」首相****欧州連合(EU)加盟国の首脳の中で、ロシアのプーチン大統領と「最も親しい」とみられているハンガリーのビクトル・オルバン首相(58)が3日、与党を率いて総選挙に臨む。
ウクライナ侵攻に絡み、ロシアとの関係を見直すかが選挙の大きな争点だが、オルバン氏は「プーチン批判」からは距離を置いており、有権者がどう反応するのかが注目される。 首都ブダペストの中心部で3月23日、オルバン氏の与党「フィデス」の選挙集会が開かれ、登壇者はオルバン政権の12年で経済が成長したと力説した。 参加した警備会社員ラスロ・シュパンガさん(34)と、妻の清掃員モニカさん(36)はフィデスの経済政策に満足している。ロシアの侵攻については「米国がウクライナに武器を送り、火に油を注いだ。ハンガリーはロシアからの資源に頼り、今後もロシアと仲良くするべきだ」と語った。 オルバン氏は3月下旬のEU首脳会議で、ロシアへの資源依存から急転換することに反対。「天然ガスの85%がロシアから来る。(対ロ)制裁でハンガリー経済は一瞬で減速し、停止する」と理由を説明した。 軍事面でも、ウクライナに向けて運ばれる他国の武器が自国を通ることを認めない。欧米首脳がプーチン氏を厳しく責めるなか、直接の批判は避けている。 コバチ政府報道官は取材に「自国が戦争に巻き込まれないためにどうするかを考えた」。ロシア侵攻後のEUや北大西洋条約機構(NATO)の方針にハンガリーが拒否権を発動したこともなく、「ロシア支持」ではないと主張した。 EUにもロシアにも配慮する外交姿勢は、野党には八方美人に映る。野党・民主連合のアグネシュ・ボドイ議員は「オルバンはEUのお金とプーチンの価値観の両方が大好きなだけだ」とこき下ろした。 オルバン氏はメディアや司法への統制を強め、性的少数者の権利の制限も進めてきた。ボドイ氏は「総選挙は独裁か民主主義か、ロシアか欧州かの選択だ」と話す。【4月3日 朝日】*********************
“オルバンが勝てば、ハンガリーは中欧にあって政治的にはますます(独裁・強権支配型の国家が多い)中央アジアの国に似てくる可能性が高い。”【前出 2021年7月22日 Newsweek】
最近の世論調査では与党側がわずかにリードしているとのこと・・・・結果はどうでしょうか?

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