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Channel: 孤帆の遠影碧空に尽き
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欧州議会選挙で台頭が予想される各国EU懐疑派 統一会派結成に向けて活発な動き

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(4月7日ミラノ、イタリアのサルビーニ副首相(右)、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏(中央)、オーストリアの極右政治家シュトラッヘ氏(左)【4月12日 ロイター】)

 

【イギリス、欧州議会選挙参加 第1党をうかがう離脱旗振り役ファラージ氏の新党】

イギリスのEU離脱(ブレグジット)の混迷・漂流は相変わらずですが、欧州議会選挙の行われる5月23日までに離脱できない場合は欧州議会選挙に参加する法的義務が発生するという事情で、メイ首相が避けたがっていた欧州議会選挙(5年毎に実施)にイギリスも参加することになりました。

 

****英が欧州議会選参加へ 「合意なき離脱」避ける苦渋の選択****

英国のメイ首相は7日、欧州議会選(23~26日)に参加する意向を表明した。

 

メイ氏は同議会選までに欧州連合(EU)との離脱合意案について英下院の承認を得るため、与党・保守党と最大野党・労働党との協議を進めてきたが、妥結の見通しが固まらず、「合意なき離脱」を避けるには同議会選への参加が不可避となった。

 

EUの首脳会議は4月11日、同12日に迫っていた離脱期限を10月31日に延期したが、この際、欧州議会選までに離脱合意案が英下院で承認できず、英国が同選挙への参加も拒んだ場合、6月1日に経済の混乱が予測される「合意なき離脱」となることが定まった。

 

メイ氏の意向について報道官は7日、「欧州議会選に参加しなければならないという結果を首相は深く遺憾に思っている」と述べた。(中略)

 

メイ氏とEUが合意した離脱協定は今年1月以降、英下院で3回否決。このためメイ氏は先月、与党内の離脱強硬派を説得するそれまでの方針を転換し、労働党との妥結を目指し、与野党協議を続けてきた。

 

しかし、これまでのところ「残念ながら(協議)プロセスを欧州議会選までに終えるのは不可能」(リディントン氏)な状況だ。

 

与野党の合意の落としどころとして、EUの関税同盟に残留する案を有力視する声もあるが、保守党内ではこの案への反対は根強い。

 

一方、労働党内では離脱の是非を再び問う2回目の国民投票を実現させようとするEU残留派が勢いを増している。両党の党内事情が妥協を難しくしているのが実情だ。【5月8日 毎日】

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ブレグジットの件は、2回目の国民投票が実施されることになったとか、労働党との間で合意が成立したとか、新たな動きが出てきたら取り上げるとして、今日は欧州議会選挙の方の話。

 

国内選挙と異なり、EUとの関係が主な論点となる欧州議会選挙にあっては、イギリスの場合、国民投票におけるブレグジット賛成の旗振り役だったあのファラージ氏率いる新党が一番人気とか。(なお、前回2014年選挙でもファラージ氏率いるイギリス独立党(UKIP)はイギリスでは保守党・労働党を押さえて第1党となっています)

 

離脱決定後は存在意義を失い、UKIP内の内紛もあって、いったんはすっかり影がうすくなったファラージ氏ですが、ブレグジット議論混迷とともにまた息を吹き返したようです。

 

離脱が難しくなるほど、離脱旗振り役としての存在感が増すというファラージ氏です。おそらく2回目の国民投票実施を待ち望んでいることでしょう。

 

****ブレグジット党、英で勢い 欧州議会選、世論調査で2大政党上回る****

英国の欧州連合(EU)からの離脱手続きが行き詰まるなか、離脱を党是とする新党「ブレグジット(英EU離脱)党」が国内で支持を広げている。最近の世論調査では、2大政党を上回る支持を獲得。離脱を待ち望む人々の受け皿になっている。

 

 ■EU離脱難航、憤りの受け皿に

保守党労働党も『離脱を実行する』と言った。それなのに、私たちは公然と裏切られた。反撃しようじゃないか」

 

英東部クラクトン。離脱派が多いこの港町で4月24日、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首(55)が気勢を上げると、数百人の観衆から拍手がわき起こった。5月下旬に予定される欧州議会選に向けた、同党の選挙集会だ。

 

英国のEU離脱日は3月29日のはずだった。ところが、離脱条件を定めた協定案が英議会で3回否決され、離脱日は10月末まで延期に。そのため、EUの主要機関である欧州議会の議員選に英国も参加せざるを得ない情勢にある。

 

そうしたなか、存在感を強めているのが、1月に設立されたばかりのブレグジット党だ。

 

調査会社ユーガブが4月末に英国の成人1630人を対象に、欧州議会選での投票先を尋ねたところ、ブレグジット党を選んだ人が30%を占めて最多となり、最大野党・労働党の21%、与党・保守党の13%を引き離した。

 

ブレグジット党を率いるファラージ氏は、離脱の是非を問う2016年の国民投票で離脱派の「顔」として知られた政治家。その際に掲げたスローガンを後に取り下げ、批判を浴びて鳴りを潜めていたが、今回の新党で再び脚光を浴びることになった。(後略)【5月4日 朝日】

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【EU懐疑派台頭 中道右派・左派の2大勢力が初めて過半数を割り込む予想】

前回2014年選挙でも、英仏でEU懐疑派が第1党となりましたが、その流れはますます強まっています。

 

イギリスの混迷を目の当たりにして、さすがにEU離脱を口にすることは少なくなりましたが、EUの権限を弱め、主権国家としての自国の権限を取り戻そうというEU懐疑派の勢いは止まっていません。

 

****迫る欧州議会選、EU懐疑派が台頭 二大勢力、初の過半数割れも****

欧州連合(EU)の欧州議会選(定数751)は5月23日の投票開始まで3週間を切った。

 

親EU派とEU懐疑派のポピュリズム(大衆迎合主義)勢力が対決する構図で、今後のEUの行方にも影響を及ぼす。

 

極右政党が躍進した4月下旬のスペイン総選挙で懐疑派の勢いが改めて明らかになる中、親EU派では中道右派・左派の2大勢力が初めて過半数を割り込むと予想され、苦しい展開だ。

 

「心から祝う」。フランスの極右「国民連合」のルペン党首は4月29日、前日のスペイン総選挙で躍進した極右「ボックス」に祝意を表した。ドイツの右派「ドイツのための選択肢」(AfD)もボックスを「偉大な勝者」とたたえた。

 

移民・難民の大量流入やテロ頻発を受けて近年伸長した右派のEU懐疑派は、加盟国の主権を強化し、内側からEUを弱体化させることを狙う。

 

各国の政党は欧州議会で政治理念に応じた会派をつくっており、複数会派に分散する懐疑派の結集も図り、影響力を拡大したい考えだ。

 

代表格であるイタリアの右派「同盟」党首のサルビーニ副首相は4月8日、「家族を広げ、新たな欧州の夢に取り組む」と地元の集会で強調。集会には別会派のAfDなども加わって合流を確約した。サルビーニ氏はボックスとの連携もうかがっているようだ。

 

欧州議会が4月18日に公表した予想獲得議席によると、同盟や国民連合などの会派「国家と自由の欧州」は現有37議席から62議席に増える勢い。EU懐疑派は他の2会派と合わせ2割超となる。

 

同様に「反エリート」を掲げる急進左派も存在感を保つ。左右のポピュリズム勢力を合わせれば立法手続きを阻止できる3分の1議席に届く可能性があり、EU運営の波乱要因となりうる。

 

中道右派「欧州人民党」と中道左派「社会民主進歩同盟」はそれぞれ第1、第2会派の座を守るが、1979年の直接選挙導入後、初めて合計議席が過半数を割ると予想される。

 

二大政党が後退し、議会勢力が細分化する欧州各国の状況を反映している形で、両派の合意を中心とした議会運営に変化が出そうだ。選挙結果は今秋に任期満了となるユンケル欧州委員長の後任選びにも影響する。

 

EU懐疑派の伸長の一方で目を引くのが、親EU派のリベラル勢力の奮闘だ。同勢力はマクロン仏大統領の政党「共和国前進」との連携を模索しており、実現すれば一大勢力になる。欧州議会では「キングメーカー」(専門家)になりうるとも目されている。【5月5日 産経】

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【これまで孤立していたEU懐疑派に統一会派結成を模索する動き】

EU懐疑派という点では一致する各国の極右ポピュリズム勢力ですが、個々の政策・スタンスは様々で、特にロシアとの関係をどうみるかでは大きく異なり、これまでは欧州議会内にあっては分散してきました。

 

これを一つにまとめようとしているのがイタリアの「同盟」党首のサルビーニ副首相です。

 

****笑顔や自撮りで結束狙う欧州極右勢力、分断に終止符か****

イタリアのサルビーニ副首相は、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏に絵文字入りのテキストメッセージを送ったり、オーストリアの極右政治家ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏と撮ったセルフィー(自撮り)画像を投稿したりしている。

 

欧州連合(EU)の立法府にあたる欧州議会選挙を5月26日に控え、自身の成功と有権者の主要政党離れに鼓舞されて、サルビーニ氏は欧州極右政党の連携を目指している。

 

欧州2大政治勢力が過半数を失うと予想される中、サルビーニ氏をはじめとする極右政党のリーダーたちが狙っているのは、欧州議会において法案の成立を阻止・停滞させるだけの議席を持つ野党、欧州懐疑派連合を形成することだ。

 

サルビーニ氏の外交顧問を務めるマルコ・ザンニ氏はロイターに対し、「われわれが考えているのは、団結することによって、われわれの共通点である欧州に対する懐疑主義をもっと反映するような新会派を結成することだ」と語った。「力を合わせるには、今はまたとないチャンスだ」

 

だが、サルビーニ氏がミラノで欧州議会選に向けた選挙運動を開始する際に代表を派遣するのは、欧州の極右政党の中でも比較的小規模な3党のみになりそうだ。ルペン氏は顔を出さない。ポーランドで政権を握る「法と正義」(PiS)のヤロスワフ・カチンスキ党首の代理も参加しないだろう。

 

サルビーニ氏は来月、はるかに規模の大きな集会を開くと宣言している。だがルペン氏その他の主要な極右・ナショナリズム政党のリーダーの不参加は、これらグループの連帯を長年にわたって邪魔してきた政策上の相違とライバル関係を物語っている。

 

極右政党のリーダーたちの間では、EUの「リベラル」路線を修正し、加盟国政府の権限を取り戻すというイデオロギー的な目標でおおむね一致している。

 

だが、それ以外の分野では相違点がある。トランプ米大統領の首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏は、欧州のポピュリスト勢力の間の橋渡しを図ったものの、失敗に終わった。

 

<類は友を呼ぶか>

(中略)経済成長率の低さ、イスラム主義武装勢力による安全保障上の脅威、そして開放的なEU国境をまたいだ移民流入への反発といったことに対する不満のために、多くの加盟国では、欧州懐疑派のナショナリスト政党に対する支持が高まっている。

 

「規範に逆らってもいいのだという有権者の自信が高まっている」と欧州外交評議会(ECFR)の上級政策フェローであるスージー・デニソン氏は語る。「『反─』を掲げる勢力は、今のところ、EU支持派よりもはるかに士気が高い」

 

こうした勢力が勝利を収め、英国が予定通りにEUから離脱すれば、執行部である欧州委員会が起草したEU法のチェックと修正を主な役割としてきた、欧州議会内の諸政党による国家横断的な会派も再編されることになる。

 

サルビーニ氏が率いる反移民主義を掲げる「同盟」は、欧州議会での勢力をこれまでの4倍以上の27議席に伸ばすと予想されている。

 

ルペン氏の国民戦線(FN)や、オーストリアの連立与党としてシュトラッヘ党首が副首相の座を確保した自由党の躍進が予想される中で、これら政党が参加する会派「国家と自由の欧州(ENF)」は、現有37議席から61議席に勢力を拡大する可能性がある。

 

やはりイタリアで連立政権に参加しているサルビーニ氏は、カチンスキ氏など対立する会派に所属する政党の指導者とも手を組みたいと考えている。

 

サルビーニ氏とカチンスキ氏は1月にワルシャワで会談しており、ハンガリーのオルバン首相は、両者が連携することは、今年最も素晴らしい動きの1つであると称賛した。

 

1つの大きな政治グループを形成できれば、資金集めや支援獲得の機会も開ける。ジョージア大学で極右勢力を研究するキャス・マッド氏は、「彼らが手を組むことができれば、これまでよりはるかに大きなリソースを得ることになるだろう」と言う。

 

だが政策上の相違により、EUに対して批判的な政党が、少なくとも2つの会派に分かれたままとなる可能性は高い。1つはサルビーニ氏中心、もう1つはカチンスキ氏中心の会派だ。

 

サルビーニ氏はロシアのプーチン大統領に心酔しているが、カチンスキ氏はプーチン氏を批判している。両氏とも反移民を掲げるが、対応の仕方では対立している。イタリアはEUに対する純出資国だが、ポーランドは純受益国である。経済に関する見方は一致しない。

 

ロシアを脅威とみるデンマーク、フィンランド、スウェーデンの極右政党にとっても、サルビーニ氏やルペン氏の親ロシア姿勢は容認しがたい。(中略)

 

オルバン氏は欧州議会における最大会派「欧州人民党(EPP)グループ」に残ることを選択したが、先月には同会派から除名されている。オルバン氏は欧州懐疑派による連立をあれほど称賛する一方で、欧州の有力政治家とも手を組んでいることで、他のポピュリスト政治家には欠けている主流派としての存在感を備えている。

 

だが、欧州議会選の後にこうした状況が変わると期待する声もある。

「強大な会派を離れて弱小会派に参加するのは政治的な決断として困難だが、強力で成長している会派に参加するために今の会派を離れるのであれば、それほど困難ではない」と、ポーランドのPiS議員で、欧州議会の「欧州保守改革(ECR)グループ」に属するリシャルト・レグトコ氏は話す。

 

「今の状況を変える現実的なチャンスが訪れるのは、これが初めてだ。こうした政治的な、いやイデオロギー的な独占状態がある程度弱まる可能性がある」

 

<孤立を脱して>

極右勢力の間の連携は、依然として、もっぱら個人的な人脈に限られている。国内で長い間孤立しており、国外での影響力を持っていなかったリーダーたちがお互いの集会に参加する場合、自分たちが泡沫勢力ではないということをアピールする狙いがある。

 

「お互いにお墨付きを与えているということだ」と豪グリフィス大学政治・国際関係大学院のダンカン・マクドネル教授(政治学)は説明する。だが、極右勢力は自らが「新たな波の一部」であるという認識を強めつつあると同教授は言う。

 

各世論調査によれば、「ドイツのための選択肢」(AfD)は次期欧州議会でさらに多くの議席を獲得する可能性があり、サルビーニ氏のENFグループに参加するかもしれない。

 

また、ティエリ-・ボーデ氏率いるオランダの「民主主義フォーラム」(FvD)も欧州議会で新たに4議席を獲得する可能性があり、ポーランドのPiSが属するECRグループに参加すると表明している。

 

欧州懐疑派の各グループにもてはやされているのが、スペインの極右政党ボックス(VOX)である。昨年12月のスペイン地方選挙で勝利を収めたが、その時点までは、欧州を席巻するポピュリズムの流れに加わることに抵抗していた。(中略)

 

サルビーニ氏の同盟の外交顧問ザンニ氏は、極右政党が同じ会派にまとまらないとしても、EUの政策に影響を与える、あるいは阻止するために協力を拡大することになるだろう、と話す。

 

前出のデニソン氏は、「膠着(こうちゃく)状態が長引き、長期的に、EUが実効的な主体であるという考え方が損なわれてしまうリスクがある」と語る。【4月12日 ロイター】

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EU懐疑派の統一会派がどこまで進むかは不透明ですが、連携を模索して非常に“元気”“意気盛ん”なのは間違いありません。

 

****極右政党、欧州議会選へ気勢=プラハで集会、統一会派結成も****

移民排斥や反欧州連合(EU)を掲げる欧州各国の極右政党党首が25日、プラハで合同集会を開き、5月の欧州議会選に向けて「新たな欧州の調和を実現する時だ(フランスの国民連合=RN=のルペン党首)」などと気勢を上げた。AFP通信などが報じた。

 

集会は、日系チェコ人のトミオ・オカムラ氏が率いる同国の政党「自由と直接民主主義」が主催。このほかオランダのウィルダース自由党党首が参加し、「EUはわれわれのアイデンティティーを破壊する怪物だ」と訴えた。イタリアの「同盟」を率いるサルビーニ副首相もビデオメッセージを寄せた。【4月26日 時事】 

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****EU懐疑派 ヨーロッパ議会選挙前に活動活発化****

EU=ヨーロッパ連合の今後を占うヨーロッパ議会選挙が今月下旬に行われるのを前に、フランスとベルギーの極右政党が連携を確認するなどEUに懐疑的な勢力が活動を活発化させています。(中略)


ルペン党首は、選挙後のヨーロッパ議会ではこの政党のほかイタリアやドイツなどのEU懐疑派の政党と会派を組むとしたうえで、「われわれは大きな勢力となり、今後起きることはEUにとって極めて重要となる」と述べ、EU統合の動きに対抗していく考えを示しました。

また、この会派を主導するとみられるイタリアの右派政党の党首、サルビーニ副首相も今月18日に各国の右派政党を集めてアピールを行う予定で、選挙を目前に控え、EUに懐疑的な勢力が活動を活発化させています。【5月6日 NHK】

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これまで孤立・分断していた欧州懐疑派が「新たな波」として統一された存在になると、EUとしては対応に苦慮することになりそうです。

 


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