
(写りが良くありませんが、アスワンのスークを歩く若い女性たち)
【帰国日 寝過ごして慌てる】
エジプト観光を終えて、日本への帰国の途上、アブダビで乗継便を待っています。
アブダビから成田は、ほんの10時間、ひとっ飛びです・・・・と言えればいいのですが、やはり長いフライトは疲れます。
アブダビをハブにするエティハド航空ですから、機材は最新設備で食事もとてもおいしいのが救いです。
それはそうと、今朝はちょっと慌てました。昨日の行動を含めて旅行中の予約・確認・車の手配などすっかり現地旅行会社に任せたこともあってか、気も緩み、翌朝が帰国日だというのに、昨夜は「まあ、10時ぐらいまでにホテルをチェックアウトすればいいから・・・・」と目覚ましもセットせずに寝てしまいました。
歳のせいもあって、普段は7時ぐらいには目を覚ますのですが、今朝は時計見ると9時を過ぎています。
「嘘だろう!」というか、てっきり100均で買った時計の具合がおかしくなったのだろうと、これまた100均で買った腕時計を確認するやはり9時を過ぎています。
一昨日はフライト変更を知らずにルクソール空港で一夜を過ごすことになって、体は非常に疲れていたのですが、せっかくエジプトに来たのだからと疲れを押して昨夜ディナークルーズに出かけ、戻ってきたのが11時過ぎ、それからPCをいじって・・・ちょっと夜更かししたのと、安宿なので窓もなく真っ暗なせいで寝過ごしてしまったようです。
焦りつつもシャワーだけは浴びて(今日は長旅になるので・・・)バタバタで荷造りして、チェックアウトへ。
なんだかんだで空港送迎もホテル手配の車に任せることになりました。
安心・安全・手軽さをカネで買う形にもなりますが、最後の空港送迎はその価値がありました。
航空券のeチケットではカイロ空港ターミナル1になっていたのですが、ドライバーの話ではエティハド航空はターミナル2に移ったはずだとのことで電話で確認、やはりターミナル2が正しいということでターミナル2に向かいます。
もし、自力で移動していれば最近はほんとど使われていないターミナル1(ターミナル2とは別の場所)に着いて、訳がわからずパニクったところです。
【イスラム的とは思えないセクシーなベリーダンス】
昨夜のエジプト最後のイベント、夜のナイル川のディナークルーズですが、船上でビュッフェ形式の食事を楽しみながら、カイロの夜景と、船内で催されるダンスを鑑賞するというもの。
ダンスのひとつは、いわゆるベリーダンス、もうひとつは男性がクルクル回るスーフィーの旋舞。

中東独特のベリーダンスについては、女性が肌や髪を露出することを禁じるイスラム的な風習に反するもので、「どうして、こうした女性が肌もあらわに人前で踊るダンスが認められているのだろうか?」という疑問は誰しも抱くところでしょう。
ネットでそのあたりを検索すると、いくつかの説明がありました。
****ベリーダンスはどうして許されるのか?*****
・・・・端的に言えば、「男性が見たいと思っているから許されている」なのですが、これではあんまりですので、色々と考えてみました。
イスラームの教えに従うなら、不特定多数の男性の前で肌を見せ、まして踊ってしまうなどということは許される行為ではありません。
イスラーム革命以前のイランにも女性ダンサーはいました。しかし彼女たちは革命後逮捕され、投獄されています。この投獄先が、売春婦や麻薬中毒患者を収容する施設だったことからも、彼女たちがイスラーム的見解から売春婦と同列に扱われていたことが想像できます。
まだイスラーム世界に奴隷制が存在していた頃、金持ちや王侯貴族の館で美しい奴隷娘たちが踊りを見せたり、楽器を演奏して宴会を盛り上げていたことが文献などの資料から分かります。つまり、非ムスリム、あるいはムスリムだったとしても自由な階級よりも一段下の階級に置かれた女性たちの仕事だったのです。
詩の中にも酒場に酌とりの妖艶な女性が登場して男性の心を悩ませていますが、これは文学的な想像力による女性なのか、実際にそういう女性がいたのかどうか確かめられません。
もしいたのだとしても、宗教的にまじめな家庭の女性が働いていたとは思えませんので、身分の低い女性だったのではないかと思います。
奴隷制が廃止された後も、宴会を盛り上げるためにこうした女性たちに対する需要があったことは想像に難くありません。そこで今度はお金をもらって踊る女性たちが登場します。
西欧化が進む社会の中で、彼女たちの活動の場は広がっていきました。バレエや民族舞踊や演劇が上演されるなら、自分たちが踊ったっていいじゃないの、需要があるんだから、ということで、彼女たちの活動の場も、家の中から外に広がっていったのです。
イランやサウジアラビアのような国は別として、世俗化した国ではイスラームを理由に彼女たちを取り締まることがありませんので、ベリーダンサーも職業の一つとして存在し得るのです。でもやはり、宗教的にまじめな人たちからの蔑視は受けるようです。(後略)【「イランという国で」 by sarasayajp】
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*****「ベリーダンスの露出はイスラム教的に大丈夫なのか?」などの疑問****
コプト教徒がダンサー説
エジプトのベリーダンサーの多くはコプト教徒だとい説があるようです。ネットで見つけた説なので、どの程度信憑性があるかは分かりませんが。
コプト教というのは、エジプトに古くからあるキリスト教の一派です。時代的には、イスラムができる前から存在しています。
コプト教徒にはイスラムの教えは関係ありませんから、彼らがベリーダンサーになるのは問題が無いはずです。それが、上の説の根拠です。
ちなみに、エジプトのコプト教徒は800万人ともいわれています。小さな国くらいの人口はいるわけです。それだけの人口がいれば、その中からかなりの数のダンサーが生まれても不思議ではありません。
個人的には、説得力がある説だと感じました。
補足:
この説はあまり信憑性が無いようですね。エジプトに留学経験もある日本人のべリーダンサーに聞いたのですが、必ずしもコプトではないという話でした。
彼女の話だと、イスラム教の信仰心には個人差があり、それほど抵抗が無い人も多いということです。そういう信仰心が厚くない人がべリーダンサーには多いということみたいですね。彼女の知り合いのエジプト人のダンサーは、ムスリムであるにもかかわらず、ラマダンはしないという事でした。
ムスリムの信仰心には、人によってかなりの差があるようです
ダンサーの地位は低い?
ところで、予想通りといいますか何といいますか、エジプトでのベリーダンスのダンサーの地位は高くないようです。売春婦のちょっと上という程度なのでしょうか。
実際売春に手を出しているダンサーもいるようで、あたらずとも遠からずという部分もあるようです。まあ、集めたのがネットのうわさ程度の情報なので、信憑性は分かりませんが。
その一方で、世界的に活躍するべりーダンサーもいるようです。こういう人は、人に教えるときも、かなり高い指導料を取ったりしているようですね。【http://www.egypt-shirabetemita.com/357】
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まあ、いろんな事情はあるにしても、「男性が見たいと思っているから許されている」ということに尽きるようにも思われます。
ディナークルーズでの観客男性の盛り上がり様からも、そのあたりが窺われます。
男性だけでなく、女性も”男性の視線を釘付けにする大胆なダンス”にまんざらでもなさそうでした。
戒律の厳しいサウジアラビアからの観光客もいましたが、男性はもちろん、全身黒ずくめの女性たちも結構楽しそうでした。
宗教的な戒律を強制するだけでは社会は回らない、世俗的なもの、欲望を肯定するものがやはり必要ということでしょう。
そのあたりが原理主義者には理解されませんので、社会に軋轢・緊張をもたらします。
ベリーダンスに興じる者など、歌舞音曲を禁じたタリバンが目にしたら全員射殺でしょう。ただ、そのタリバンが撤退したあとには、没収した猥褻なビデオ等を楽しんでいた形跡が・・・というのも現実です。
【スカーフやカラスファッション、二カブ】
ベリーダンスほど極端ではないにしても、宗教的戒律との関係で常に問題となる女性ファッションがスカーフや顔を覆うベールの問題。
これまでも幾度となく取り上げてきた話題でることや、旅行移動中の制約・疲れもありますので、最近目にした話題と、エジプトでの女性ファッションに関する印象だけ。
イスラム女性の目以外を覆う二カブ等のファッションはフランスなど欧州でよく問題となり公共の場でのニガブを禁じる法律が制定されている国もいくつかあります。
一方、トルコでは、これまで公共の場で禁じられていたスカーフ着用が、イスラム主義を進めるエルドアン大統領のもとで解禁される状況となっています。
イスラムファッションに神経質となっているのは、こうした国だけでなく、イスラム教徒ウイグル族との軋轢が絶えない中国も同様です。
****中国政府、新疆で顎ひげやベール禁止に 4月1日から*****
中国の新疆ウイグル自治区で4月1日から、宗教的な過激主義に対する取り締まり強化を目的に、「普通ではない」顎ひげや公共の場でのベール着用、国営テレビの視聴拒否などを禁止する新たな法律が施行される。
従来の規則を拡大した法案が、新疆の議会で29日に採択され、同地域の公式ホームページに公表された。
新法では、駅や空港など公共の場所で働く労働者は、顔のベールを含め体を覆った人の立ち入りを「阻止」し、その人物について警察に報告することが求められる。
また、「テレビやラジオ、その他の公共のサービスの拒否」や宗教的な手続きに従った結婚、子供たちを普通の学校に通わせないことなども禁止される見通し。【3月30日 ロイター】
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「普通ではない」顎ひげ・・・・・日本なら“普通ではない”とはどういうことか?という議論になりますが、中国ですから当局の判断次第です。
現在、10時間フライトを何とか終えて、成田から羽田へバス移動中です。
まだこれから、ANAで鹿児島へ移動し、鹿児島空港から自宅へ・・・・ということで、帰宅は7時間後ぐらいでしょうか。
それで、イスラムファッションの話ですが、エジプトの街で見かける女性はほぼ皆スカーフを着用しています。コプト教徒も1割程度いるはずですが・・・
中年以上女性は、頭からつま先まで黒ずくめのカラスファッションが多いようです。
一方、若い女性はカラスファッションはほとんどみられず、ジーンズなどの細身のパンツにシャツ・チュニックを合わせるようなファッションです。
顔を覆って目だけをだすニガブは、いないことはありませんが、かなり少数です。サウジアラビアからの旅行者には多いようですが。
足元は、若い女性でもスニーカーや部屋履きに毛の生えたような靴が多く、ヒールがあるような靴はほとんどみません。カラスファッションになってしまうと足元まで覆いますので、何をはいていてもあまりかまわないということもあるのか、あまり足元には気を使わないようにも見えます。
もっとも、“カラスファッション”とは言っても、いろんなデザインのものがあるよで、街中のショーウィンドーには、いろんな装飾もされた“カラス”が並んでいます。
また、カラスの下は意外と派手なこともあるようで、びっくりするぐらい派手でセクシーな下着類があけっぴろげに売られています。
スカーフについては、イスラム国を観光するときにいつも思うのですが、宗教的なものというよりは、“女性”を象徴するファッションアイテムとしてごく普通に着用されているようにも見えます。
ひと昔前の“女性だったらスカートをはくのが当たり前”というのと似たような感覚でしょうか。
従って、女性らしさをアピールする性的な側面ももったファッションアイテムにもなるのでしょう。
当然に、スカーフの色、デザイン、被り方などは様々で、そのファッションを楽しんでいるようにも。
“女性権利の制約”の象徴といった欧米的とらえ方をしている現地女性は多くないようにも思えます。
もちろん、女性らに訊いた訳でもありませんので、勝手な想像です。
いずれにしても、“スカーフを着用しないといけない”といった原理主義的発想も、“スカーフはイスラムの象徴で公共の場にはふさわしくない”といった発想も、両方ともウザイ感があります。
被りたければ被るし、被りたくなければ被らない・・・そういったファッションのひとつであるべきでしょう。
ただし、顔を隠してしまう二カブ・ブルカについては、市民社会の根底をなす市民相互のコミュニケーションを阻害するようにも思え、公共の場での着用には否定的に感じています。
ところで、現地でお世話になったカイロのホテル兼旅行手配会社のフロントには、片言の日本語を話すとてもきれいな女性がいました。
スカーフは被っていないかったので、コプト教徒の方なのか尋ねたところムスリムだそうで、必ずしもイスラム女性全員がスカーフを着用している訳でもなく、各人の考え方や好みなどもあるようです。